Vol.9 『地域企業の為の経営環境の掘り起こし屋』

今回は、浜松地域の企業発展の為、産業支援機関として地域におけるIT人材の育成や
産業のIT化、高度化のための支援を行いながら、地域企業の競争力強化に貢献すべく
事業を推進している『浜名湖国際頭脳センター』で、
課題を抱える企業とコンサルタントを結びコーディネーターとして活躍している
本庄昌実さんにお話を伺いました。


Vol.9 『地域企業の為の経営環境の掘り起こし屋』

【本庄 昌実  Masami  Honjo】

33歳
京都府京都市出身 京都産業大学 法学部卒業後 大阪で大手広告代理店の営業職
として活躍。2007年から現職 浜名湖国際頭脳センターに勤務。
NPO法人浜松ソフト産業協会に所属し、主に協会全体の運営事務と同協会の教育委員会、
NSP研究会に所属し活動をしている。
   

1、まず始めに、本庄さんがされているお仕事はどのような仕事ですか?


簡単に言うと、「地域企業の為の経営環境の掘り起こし屋」と言ったところでしょうか。
今あるものをどう活用していくか。また新しいものをどう生み出していくか。
という事を日々考え、挑戦しています。


――掘り起こし屋ですか…具体的にはどのようなことなんでしょうか?


この不景気社会の中、厳しい経営環境の中で地域企業は
「これからどの様に稼ぎ、雇用していくか」常に課題と直面しながらテーマを模索し進んでいます。
そんな地域企業が産業(マーケット)の中で、スムーズに勝負できるようバックアップしています。




――産業と言いますと…具体的にはどのようなものがあるんでしょうか?



そうですね、例えば・・・次世代輸送用機器産業、光・環境・エネルギー産業、医療・介護
新農業(6次産業化)、航空宇宙産業、その他、観光産業等サービス産業などですね。
これらのマーケットで企業が勝負するに、ICT技術*をどのように利活用するか、
人材をどのように確保、成長させるか?と言う点の経営課題の解決策になるよう
臨機応変に対応するのが私の仕事です。


*ICTとは、情報・通信に関連する技術一般の総称である。従来ひんぱんに用いられてきた
「IT」とほぼ同様の意味で用いられるもので、「IT」に替わる表現として日本でも定着しつつある。


時代の流れの中で、はやり・すたりがあります。
例えば、『銭湯マーケット』を例に説明しますね。かつて1家に1台のお風呂が無かった頃、
銭湯は地域に無くてはならない存在だった。それが時代が進むと共に、今やその必要性は
なくなりました。というように、常にお金が集まる場所は移り変わっていきます。

「次はこっちにお金が集まるよ~」と旗振りをしている仕事だと思っています。
携帯電話市場は今やスマートフォン市場にそのうち取って代わられるだろうと思います。



2、この仕事の魅力、やりがいはどんな所ですか?


安心・安全に地域の企業が活躍できる土壌をつくるところです。
新しいマーケットを創造する事とも言えますね。『新しいマーケットを創る』というのは、
楽天市場のような仕組みを作る事と言えばわかりやすいでしょうか。

それぞれが自身の持つ資源を気軽にアウトプット出来る仕組み。
楽天市場が出来る前は、市場があるとわかっていても踏み出せないという企業や個人が
たくさんいました。それらのサポートしたのが楽天市場です。

簡単に言えば、新しい楽天市場を創るような仕事ができる所がこの仕事の魅力ですね。


またこの仕事のやりがいというと、自分が作用を及ぼしていると感じられること全てですね。
顧客から感謝されることはもちろんですが、クレームなどがあった時もそうですね。
達成感をリアルに感じられるとき、やっていて良かった、そう思えます。



3、取り扱うテーマがとても幅広いように感じますが、
  どのように選択して取り組んでいくのですか?



一番は、会社として収支がとれるか、と言うことが大きいですね。
世の中には、地域の課題がたくさんあります。行政やNPOの数だけ社会には問題があります。
常に世の中の流れをウォッチして、関係者からのヒアリングをし、仮説検証をして、
今この地域で、何が必要なのかを考えています。頭脳センターとしての会社の強みを活かして、
お金をひっぱってこれる事業なのか、優先度を付けながら選択しています。


―― 「お金をひっぱる」というのは、具体的にはどのような事でしょうか。 


例えば、日本国として、静岡県として、浜松市として~というようにそれぞれの行政機関が
力を入れて取り組みたい産業分野であれば、助成金が出る場合や、行政の委託事業として
民間に託されるような事業があります。そういった重点分野に取り組む事でしっかり収入が取れる
事業を選択して、きちんと事業収益を上げることを簡単に「お金をひっぱる」と表現しました。



―― なにやらなじみが無い人にとってはむずかしそうですね。
   今なら「自然エネルギー」「災害対策」分野等ですね。



4、仕事の流れやスケジュールを教えて下さい。


具体的には、産業創造プラン策定、方向性、テーマ設定、収支計画や財源の確保、
サービス化やプロモーション、クロージングを行います。具体的には戦略を練り、
企画案を作成、社外パートナーへの協力要請、ミーティングやメンテナンスをしています。


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ある日の仕事の流れとしては、
朝一番で、新聞をチェックします。
9時出社、案件のチェックやメールチェックをしてから、企画書作成
13時~ 社内でミーティング(MTG)  15時~社外パートナーとMTG
    打ち合わせ後、社内に戻り企画書の修正、明日の活動計画をたてて、
18時には勤務終了です。夜は浜松地域の発展の為、様々な会合に参加しています。



5、この仕事をしていて大変なことはどんなことですか?


想像力が追いつかない点です。
それから、多くの人をまきこんで行く為、
なぜこの分野が今必要なのかを関係者に理解してもらうのが大変ですね。



6、職業選択で考えた事、現在の仕事を選んだ理由やきっかけがあれば教えて下さい。


次のマーケットの(産業)創造といった、みなさんが経済的に豊かになることに
携わってみたかったからです。



7、この仕事をする迄のキャリア(経験や経歴)を宜しければ教えて下さい。


私立大学法学部法律学科を卒業した後、大阪で総合広告代理店の営業職(AE)として
大手通信企業の広報・プロモーション業務の案件を受注していました。

その時の経験が今の仕事の中で人材の育成事業や、調査事業、システム開発事業に
役立っていますね。



8、大学生時代は、どのような学生だったのですか?



そうですね、京都市を中心とする飲食店、美容室等の「学割情報」をデータベース化し、
ポータイルサイトとして運営する等の取組みを行っておりました。
 

―さすが、学生時代から社会や企業とのつながりを作って活動されていたのですね。

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9、日々意識していること、大切にしている事はどんなことですか?


相手の人に気持ちよく仕事をしてもらうことですね。
どのようにしたら、その方のキャリア(仕事の経歴)につながるかを常に考えています。
プライベートでは自分の時間を意識的に持つようにしています。



11、現在はどのような夢をお持ちですか?


一人一人の価値がそこなわれることのない社会を支えたいです。


――具体的にはどういうことでしょうか。


具体的には、一人一人にあった自由な表現、発信できる場と受信、享受できる仕組みの
維持発展が出来るような社会にしたいです。インターネットの技術は、随分前進しました。

しかし、まだまだパソコンが苦手な人も多く、もっと気軽に、手軽にする必要があると思って
います。ホワイトスペースなど、空き電波を有効活用したり、圧縮技術、重畳波技術などで、
まだまだ可能性があると思います。

世界中の人が誰でも、気軽に地球を俯瞰して、
「天上天下 唯我独尊」の感動を味わえるような社会になってほしいですね。
そんな社会を支えるのに、浜松地域の技術が、車で言えば、エンジンのような役割に
なれば良いと思っております。



*ホワイトスペース: 
電波の周波数帯のうち、放送や通信のために割り当てられているのに実際には利用されて
いない部分のことをホワイトスペースという。放送波がチャンネル間で混信するのを防ぐために
設けられた「隙間」の周波数帯域などのことを指し、無線通信需要の増加に伴い
ホワイトスペースの有効利用が世界的に議論されている。


――「天上天下 唯我独尊」ですか。


はい、この言葉は解釈がいろいろとあるようですが、
「この大宇宙において、一人ひとりに尊い使命がある。」という意味です。

――深いですね。

12、これから就職や転職を迎える若者への期待やアドバイスをお聞かせください。


ビジョンや目標は、時間の流れで変わったり、忘れたりするかも知れませんが、
実は、振り子のように、ぶれているようでご自身の何かの芯にもどってきていると思います。

その芯が何か、見つけてみてください。

見つけるための手法はたくさんあります。みつかれば、それを信じて動いてみる。

細かく自問自答→自分がその道を選択した理由が明確でないと、
辛い事があると逃げてしまいますからね。


――お忙しい中、ありがとうございました。

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・・・・・<企業概要>・・・・・・・

Vol.9 『地域企業の為の経営環境の掘り起こし屋』

【株式会社 浜名湖国際頭脳センター】   

http://www.hamanako.jp/
所在地: 静岡県浜松市西区村櫛町4598番地の9
 TEL 053-484-4000 FAX 053-484-4001
E-mail:web@hamanako.co.jp
従業員数:26名


【会社概要】
産業支援機関として地域におけるIT人材の育成や産業のIT化、
高度化のための支援を行いながら、地域企業の競争力の強化に
貢献すべく事業を推進している。

【事業内容】
*システム開発事業/「IT推進」、「システム最適化」を共に協創する地域に根付いたパートナー
*Webコンテンツ制作事業/ホームページのリニューアル、CMSシステム、SEO対策
*地理情報システム開発事業/ 「地図検索システム」「GISデータ変換工房」等
*人材育成事業/ IT関連の「人財」育成のサポートをいたします。
*人材紹介・人材派遣事業
*ITコンサル事業 /「e技伝承サービス」
*調査事業/ 施策検討や計画策定に役立つ調査、提案をいたします。
*賃貸事業/ 浜名湖が見渡せる快適なオフィス環境の提供
        (テナント、貸し会議室、インキュベート)
*浜名湖クラブ/ 企業の枠を超えた、個と個のつながりを大切に活動しています。


【編集後記】

新しい産業マーケットを創るという非常に難しい課題に取り組む一方、非常にやりがいのある
お仕事だと思います。ここ静岡地域でも、企業の海外進出も進み企業の抱える問題もより複雑化
される中、本庄さんのように企業の発展の為の支援をしてくれる存在は本当にありがたいです。

そしてこれからの時代もっと必要となってくる仕事だとも思います。難しい仕事をされている
にも関わらずいつも、どこか余裕を漂わせているその姿に、憧れる若者は多いと思いました。 
                            (取材・編集・撮影 塩崎明子)


就職や社会で必要なことのアドバイスをたくさん頂きました。本庄さんのようにかっこよく
仕事ができるように頑張りたいと思います。           (インターン 古賀)



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