Vol.6 『聞こえのリハビリテーションでシニア動かす!補聴器屋』

『快適に聞こえる生活にこだわる。補聴器で聞こえのリハビリテーションを!』

【業界:医療業界 業種:補聴器販売 】【企業名:プロショップ大塚   】

Vol.6 『聞こえのリハビリテーションでシニア動かす!補聴器屋』

【大塚 祥仁  Yoshihito Otsuka 】
プロフィール 生年月日 1983年2月22日 28歳
静岡県立浜松東高校情報処理科卒。
学校法人・専門学校コンピュータ総合学園HAL名古屋校ゲーム制作学科卒業。
高校生時代からビジネスのおもしろさに目覚め、学生時代に自作の会計ソフトやゲームを作り
販売する経験を持つ。2006年より現職。現在はプロショップ大塚の副店長。
第二次浜松市ユニバーサルデザイン計画策定協働会議 副会長。
浜松ユニバーサルデザインベンチャーズ 事務局長兼理事。
他、若手の異業種交流会や若手管理職の勉強会などを企画開催。


1,まず始めに、大塚さんのお仕事は一言でいうとどのような仕事ですか?
  合わせて、具体的な仕事内容を教えて下さい。



耳の遠い方が、聴こえに困らないようにする『聴こえのリハビリ』が仕事です。

具体的には、聴力と耳の形状、聴こえに関連する体質をお調べして
お客様のご予算をふまえて最適な補聴器を選びます。
その補聴器を調整して、お客様がよく聴こえるようになるまでが仕事です。
音や人間の感覚は、他の人から目で見ることが出来ません。そのためお客様のお話から
それらを正しく理解しないと、補聴器でよく聴こえるように出来ません。

お客様の昔話や世間話、場合によっては同じ話を繰り返される中で、お客様の要望をヒアリングします。これが今までの人生で知らなかった色々な事を知れてスゴク面白い。
下手な漫才より、高齢者の戦争トークや昭和トークの方が絶対面白い。
お客様は高齢の方が90%ですが、他に中耳炎など耳の病気が原因で難聴になった方や
生まれつき耳が遠い方もお客様です。



Vol.6 『聞こえのリハビリテーションでシニア動かす!補聴器屋』
――補聴器ってこんなに今はオシャレなんですね!

お見せすると、皆さんそう言っていただけます。
昔は肌色で大きなダサい補聴器しかありませんでしたが、今の補聴器はカラーや形状が
豊富にありますし、若者のケータイのようにデコレーションすることもできます。
もちろん耳につけていても、外から見えない超小型の補聴器もあります。
まだまだ補聴器はダサいというイメージなので、これから頑張っていきたいと思います。



2,この仕事をする迄のキャリア(経験や経歴)を教えて下さい。
また職業選択で考えたこと、また現在の仕事を選んだ理由やきっかけを教えて下さい。



高校二年生(17歳)のころ、簡単な会計ソフトを自作して、親戚に売り始めました。
当時はパソコンが分かる人が少なかったので喜んでもらえました。
その技術を伸ばそうと名古屋の専門学校でプログラミングや企画、マーケティングなどを
学びました。在学中はゲームソフトを制作して販売していました。
一応、売れましたよ(笑)

――学生時代に商売をされていたんですね。すごい!


僕の場合は趣味と実益を兼ねた こづかい稼ぎです。
同級生には学生起業した人、新卒で就職して初年度の年収が1000万円を
超える人もいました。いい意味で変な人がたくさんいる学校でした。
僕の場合は元々、実家が個人事業ですから、商売をするのは普通でした。

卒業後は、就職する気はなく、自分で何か起業しようと思っていました。
卒業後は内定を断り、Tシャツやポロシャツを小ロットで制作販売するwebサイトを立ち
上げようとしましたが、他の大手が先に始めてしまいました。
その後は、東京にあるゲーム会社の社長宅に住み込み丁稚奉公したり、
営業の勉強のために静岡市にあるIT系企業に就職して半年勤めてから
父が経営する補聴器販売店に入社しました。


 ――昔から補聴器販売にいつかは関わろうと考えていたのですか?


自分で(事業を)やりたかったので、あまり考えていませんでした。
それに父親とは、一緒に仕事をしたくなかった。


――では、最初はどのような仕事から始められたのですか?



入社して始めは、聴覚障害者用の福祉機器の販売をしました。
当事、当社では福祉機器に力を入れていませんでしたが、社長に「全部任せるから、
福祉機器の販売をやってみないか?」と誘われて、社長の10倍以上、売上をあげれば
自由にやれるだろうと考え、会社に入ることに決めました。
 

――どのようなものを扱われたのですか?


最初は手話を使う方(主にろう者)に、テレビ電話を販売しました。
その商品の購入費用は、(聴覚障害者に限り)行政が90%負担するという商品でした。
しかし携帯電話FOMAによるテレビ電話やインターネットTV電話のSkypeが先に流行してまったく売れなくなりました。
 
その後は「来客を光って知らせる玄関チャイム」や「子供の泣き声を光で知らせてくれる
機械」などに挑戦しましたが、あまり売上は伸びませんでした。


――その後はどうされたのですか?


 元々、業績が良くない中、経費を使いすぎて赤字になりました。
経費が掛からなさそうで、一番可能性があった補聴器に力を入れることにしました。
聴こえと補聴器の勉強をしながら、お客様の納得と安心についてひたすら考えて
補聴器の三ヶ月間無料の貸し出しサービスを実施して、大々的にPRしました。
補聴器は、その効果が目で見ても分かりませんから、本人に使ってもらうしかありません。
この貸出サービスは全国でもあまり例がなく、東海地方では当店が最大規模で実施している
と思います。

PRの広告では、お客様の納得と安心に配慮した情報発信を心がけました。
もちろんお客様との接客サービスにもこだわり、お一人お一人の納得と安心にこだわると
いう社内ルールを創りました。
 
その後、さらに補聴器販売に集中することを提案。
時計宝石の取扱いを終了して、店舗をリニューアルさせました。
 

Vol.6 『聞こえのリハビリテーションでシニア動かす!補聴器屋』
*2010年 店内をリニューアル!!  


3,この仕事の魅力、やりがいはどんな所ですか?



補聴器の仕事は、お客さまが最初から困っているんです。
その困りごとを解決してあげて、喜んでもらえることがやりがいです。
お客様によっては、泣いて喜んでくれることもあります。
一般的な小売業や営業職などのセールスでは、数字のために押し売りする場合があります。
困っている人の役に立って、喜んでもらえる。シンプルですが、最大のやりがいです。



4,仕事の流れやスケジュールを教えて下さい。



そうですね、1年で考えると、季節の変わり目となる、3月下旬から忙しくなります。
お年寄りの方は、冬場寒い時期は外出を控えますからね。
補聴器は、汗が原因で故障することがあり、故障の50%は8,9月に集中します。
夏場はかなり忙しくなります。

もちろんお客様の接客が最重要ですが、経営にも関わっています。
仕事内容は、接客、広報、会計、仕入れ、人事、新事業など、ほぼ全てです。

一日のうちでは、朝九時から午後3時頃までは来客が多くその後に、事務的な仕事や企画会議
広告のデザイン、ブログの更新、補聴器やビジネスの勉強、新人の指導などを行っています。


5,休日の過ごし方、趣味など教えてください。


映画やDVDを見ることが多いです。
シニアが活躍するストーリーや、古い映画が好きですね。
『椿三十郎』『用心棒』『死に花』『最高の人生の見つけ方』などおすすめです。
この前の休みは、近所にある喫茶店で昼からワインを飲みながら
小説の『ゲド戦記』を読んでいました。映画版より原作の方が良かったですよ。

異業種交流会や管理職向けの勉強会など、本業以外の活動は休日に準備しています。



6,この仕事をしていて大変なことはどんなとこですか?
 失敗談や苦労話があれば教えて下さい。



認知症など、ご本人の判断能力が鈍ってしまうと聴力検査もできないことです。
自分で自分のことが分からなくなっている方には、お話するのも大変ですね。
また、お客様が高齢なので、亡くなることもあり、そういう時はとても悲しいです。

新人の頃には、新聞のおくやみ欄を見て、「○○さんが亡くなりました」を
調べて、その中にお客様が該当していないかチェックする仕事があり、
担当しているお客様が亡くなると、本当に寂しい気持ちになりました。


――出来るかぎり、知り合いの名前を発見したくない欄ですね。
  ご高齢の方を対象に毎日お仕事されているのは、大変そうです。
  さらに聞こえの悪い方をお相手するのは・・・、根気が必要な気がします。


そうですね、お客様をアフターフォローで訪問させていただく際なども
小さな勘違いが起こらないように細心の注意をしています。

補聴器の取り扱いなどをお客様が忘れてしまう可能性がありますから
「言った、言わない」のトラブルは予防が肝心です。
また補聴器は聴覚リハビリの道具です。今すぐ、聞きたいことだけ聞こえる魔法の道具で
はありません。お買い上げの前に、補聴器で出来ることと出来ないこととを、しっかり伝
えるように気を付けています。


Vol.6 『聞こえのリハビリテーションでシニア動かす!補聴器屋』
7,仕事をしていて、「嬉しい」を感じるのはどのような瞬間ですか?


色々な嬉しいがありますが、当店では広告も私が作っています。
初めて自分で作った広告を見たお客様から「ここなら信頼できると思った」と言われた時
は嬉しかったです。そのころ一生懸命、仕事していてもお客様が少なく、
大変苦しい時期だったので今でもよく覚えています。


8,現在はどのような夢をお持ちですか?


プライベートでは、早く結婚したいです!現在募集中です(笑)

仕事面の夢は、1年半以内に、二号店出店です!
昔は、100店舗展開!なんて大きな事を言っていたこともありましたが、
今は、遠くの夢より、時間的には近くてがんばれる夢を大事にしています。

補聴器の仕事は、「マイナスをゼロにする」仕事だと考えています。
ですから、マイナスをゼロにするのではなく、「プラスにする」仕事をやってみたいです。


――具体的には、どのような事ですか?



例えば、シニア層が楽しめるイベントをやりたいと考えています。
補聴器を利用してストレス無く、おしゃべりができる状態になった方に、
落語を聞く機会や、出会いの場など楽しめるイベントをしたいと考えています。
シニアの婚活なども面白いと思いませんか?

――婚活!面白いですね!私の祖母もそうですが、87才でもぴんぴん元気ですものね。
中には、90才過ぎて恋愛を楽しんでいらっしゃるかたもいると聞きました。


基本的に、シニア層はフットワークが重い。重い足を動かす程の魅力的な企画を
生み出していきたいです。オモシロクする仕掛けを作りたい!!




――これからの高齢化社会において、シニアであることを楽しめる企画がたくさんあると
  年齢を重ねるのも楽しくなりますね!!是非、頑張って欲しいです!


9,日々意識していること、大切にしている事や座右の銘はどんなことですか?

 
「勝つべくして勝つ、負けるべくして負ける」「備えよ。常に」この二つです。
つまりは、やった程度の結果しかでないから、淡々とコツコツ勝つ為の準備をする
という事を大事にしています。


若い頃は、特別な人になれる。何でも出来る。という根拠のない、過剰な自信があったけど、
今はだんだん、落ち着いてきました。淡々と冷静に自分のやるべき事を判断して、
行動するように慎重に備えるようになりました。
 
――かっこいいですね!勝つ戦略、シナリオを立ててから進め!と私もある方から教わりました。


10,これから就職や転職を迎える若者への期待やアドバイスをお聞かせください。


後悔しない事はないから、後悔が一番小さくなる選択、決断をして欲しいです。
反省と後悔は違う。
目的が無いと、選択がない。
選択がないと、後悔がない。

後は、無理して頑張って!と言いたいかな。
無理していない若者ばかりが最近目に付くので・・・。
 い子にはもっと頑張って欲しいです!


――ありがとうございました。日々お年寄りとお話をしているだけあって
  まだとてもお若いのに、落ち着いた物腰と話し方で、お客様にもとても
  信頼されている様子が伺えました。


プロショップ大塚さんでは、現在スタッフも募集しています!


Vol.6 『聞こえのリハビリテーションでシニア動かす!補聴器屋』
*お店の前にある巨大な耳が目印です!!

 
―――企業情報―――
【 プロショップ大塚 】
〒430-0805 浜松市中区相生町24-8
TEL: 053-461-9246 FAX:053-461-6604
URL http://www.miru-kiku.jp/
定休日 水曜日   従業員数:4名
大正5年 大塚時計店として創業


【最後に一言メッセージ】
「最近、聞き間違える事が増えた」
「以前に比べると聞こえにくくなったみたい」
と感じるご家族の方、一度きちんとした聴力チェックをオススメします!
当店では、無料で3ヶ月、補聴器の貸し出しもしています。
プロの職人がじっくりとよく聞こえる補聴器に仕立てますので、お任せ下さい。


―― 専門学校情報 ――

【学校法人・専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)】
http://www.hal.ac.jp/
ゲーム・CG・映像・アニメ・ミュージック・カーデザイン・ロボット・IT・WEB・インターネット・電子・コンピュータ のプロフェッショナルを育成する専門学校


【編集後記】
年齢よりも落ち着いた感じのする人で、人として成熟しているのだと思いました。
「勝つべくして勝つ、負けるべくして負ける」というお話を伺い、自己を見つめ、
必要なことを考え実行していきたいと思いました。
これからもっと需要が増えてくる業界なので、頑張っていってほしいと思いました。
                        ( 取材インターン  古賀 )

超高齢化社会が迫る今、シニアマーケットのビジネスはこれから益々盛り上がります。
シニアの活性化の裏には「大塚あり!」と言われるそんな存在になっていく人だと思っています。
とても勉強熱心で実行力がある。そして人当たりも素晴らしい!浜松に来て7年になりますが、
大塚さんとの6年前の出会いがあったからこそ、楽しい浜松ライフがあると思います。
いつも色々と考えていて、楽しい企画を一緒にやろうと声をかけてくれる大切な仲間です。
プライベートの夢は、結婚とのことなので、ぜひとも良縁に恵まれる事を心から応援します!
                         ( 取材・編集 塩崎明子 )



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